脳・神経

脳卒中患者のリハ治療における筋力増強に値する負荷量は十分投与できているか?



こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians です!

今回は脳卒中患者のリハ治療における筋力増強に値する負荷量は十分投与できているのかどうかということについて考えてみましょう。

 

 

普段の臨床を見直してみましょう

あなたは普段の治療でどのぐらいの負荷量・活動量を患者さんに投与しているでしょうか?

負荷量・活動量といっても色々ありますが、例えば

・実施単位はどのぐらいですか?

・ベッドで寝ている時間はどのぐらいですか?

・歩行している距離・時間はどのぐらいですか?

・立ったり座ったり何回ぐらいしていますか?

・ベッド上臥位の状態でどのぐらい徒手抵抗運動をやっていますか?

などなど。

 

なんでこんなこと考えないといけないの?っと思う方もおられるかもしれませんが、脳卒中の治療については関しては十分な負荷量・運動量をかけていくことが非常に重要です。
(※もちろん質も重要)

治療の詳細については今後お話しすることとして、今回は筋力増強に値する負荷量を投与できているのか?ということについて参考になるものがあったのでご紹介させていただきます。

 

 

脳卒中早期リハ患者の下肢筋断面積の経時的変化を活動量・負荷量で検証した結果からわかるリハ治療のポイント

さて、もう一度確認ですが、臨床現場において脳卒中患者のリハ治療における筋力増強は十分実施できているでしょうか?

これを問われると悩む方も多いと思いますが、近藤先生のこちらの論文ではリハ実施内容とその経過について具体的に検討されていて非常に参考になるのでみてみましょう。

対象と方法

発症後第14病日以内に入院した初発脳卒中患者(平均値4.6日,中央値1.5日)20人の下肢筋断面積を、CTを用いて5日以内・2週時・4週時・8週と経時的に測定した。対照群は以下の3群に分けられた。

全介助群:入院から退院まで歩行不可能

早期歩行自立群:2週間以内に歩行自立

中間群:2週時まで歩行自立せず4週以上の歩行練習を実施

各群ともに座位や歩行、機能訓練・ADL練習などの運動療法を原則40分/日(週5-6日)実施
歩行自立群や中間群では、集団で10分間の体操と起立着座20回+歩行や起立の自主練習指導(中間群では、退院時には起立着座100回/日以上、歩行2000m以上を行っていた)

 

結果

早期歩行自立群では下肢筋断面積に有意な低下はみられなかった

しかし、中間群や全介助群では2週時点には入院時と比較して有意な低下を認めた。

この三群間の比較間では、それぞれの下肢筋断面積に統計学的な差を認め、麻痺側と非麻痺側間では差がみられなかった

また、中間群ではその後4週時より下肢筋断面積の回復が見られたが、入院時の状態に戻るまでに8週間(約3倍の期間)を要した

 

論文の結果からわかるリハ治療のポイント

実際に臨床に従事されている方は、

これだけの内容を毎日やっていても筋力が落ちるのか!?

という点がまず感じるところではないでしょうか。

 

そう思うのは、当たり前ですよね。

この報告のリハ実施量は、現在の全国的なスタンダードかそれ以上の内容を実施している状況だからです(平均60分程度:言語聴覚療法を20分として差し引くと同程度)。

 

ここから参考になることは以下のような点があり、臨床上も活かすことができるポイントなので、これを踏まえて臨床を見直してみてはいかがでしょうか?

・筋力低下をおこさせないためには早期歩行自立を獲得させることが重要

麻痺側下肢の筋力は非麻痺側と同程度に強化ができる

・急性期入院時より、一日につき運動療法40分+自主練習で起立着座100回(歩行2000m)程度+集団10分と起立着座20回の十分な運動療法を実施していても筋力は落ちる

・ただし、上記のような治療を実施していれば、8週間程度で入院前と同程度状態まで回復する。

・逆に、実施できていなければ、そのうち廃用症候群の影響が明らかになり、日常生活活動の回復が伸び悩む可能性が予想される

 

 

どこの急性期病院も、一日のリハ実施患者数は非常に多い現状かと思います。

上記の論文のポイントは当たり前のことを述べているようですが、私たちは、短時間のリハ治療の中でその大半の時間をベッドに患者を寝かした状態で経過させていないでしょうか。

発症当初は、脳浮腫・虚血性ペナンブラ・ディアスキシスの改善などの変化により、リハ実施有無にかかわらず自然回復の影響が否めません。

発症から順調に回復しているようにみえても、患者がベッド上で過ごす時間が長い日々が持続していれば、自然回復が落ち着いてきた頃には廃用症候群の影響が明かとなってきます。

2週間程経過した頃、患者さんの日常生活活動の回復が伸び悩むことが臨床では多々ありませんでしょうか。

上述の内容からもわかる通り、徐々に神経機能の回復よりも廃用症候群の影響が強くみられてきていると考えられる状態であり、これは当然の結果であるといえます。

特に、併存疾患を有する高齢者ではいったん廃用症候群をきたしてしまうと不可逆的になることも多く、結局は最終的な日常生活の到達レベルを落としてしまうこともあります(図1、2:イメージ図)。

 

患者さんに順調に回復してもらうためには、まずは、離床の安全性を確認しつつ、早期からこれ以上の十分な運動量の確保ができる状態を他職種と連携して確保する必要があるといえます。

では、どの程度の運動量を投与すれば良いのでしょうか?

具体的な運動量は以下をご参照ください。

筋力低下を予防するための運動量はどの程度必要か?論文からみた廃用性筋力低下を予防するための具体的な運動量筋力低下を予防する運動量について知りたいですか?本記事では、筋力低下を予防するための運動量はどの程度必要か?また、論文からみた廃用性筋力低下を予防するための具体的な運動量を丁寧に解説しています。適切な運動量を投与して効果的にリハビリテーションを勧めたいとお考えの方は必見です!...

 

 

参考文献

1)近藤克則,太田正:脳卒中早期リハビリテーション患者の下肢筋断面積の経時的変化-廃用性筋萎縮と回復過程-.リハビリテーション医学.1997;34(2):129-133.
2)Dombovy ML: Stroke: Clinical course and neurophysiological mechanisms of recovery. Clinical Reviews in Physical and Rehabilitation Medicine. 1991;2(17):171-188.

 

 

本日は以上で終わりです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

ABOUT ME
たけ
理学療法士&ピラティスインストラクターをメインに姿勢・パフォーマンス改善のプロとして活動中! 過去には世界で最も患者が多い病院、某大学病院で超急性期のリハビリテーションに貢献。その他にも認定脳卒中、呼吸療法認定士、ガンリハなどの資格を保有。 超急性期から障害予防までの多岐にわたる分野の記事を執筆中!
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