脳・神経

脳卒中患者の能力は退院後に著しく低下する?!高リスク者の予測と適切な指導&環境調整が必要不可欠

こんにちは、CLINICIANSの代表のたけ(@RihaClinicians です!

今回は脳卒中患者の能力は退院後に著しく低下するため、高リスク者の予測と適切な指導&環境調整が必要不可欠という話。

 

脳卒中は、リハ医療によってかなりの機能回復が期待できるようになっています。

しかし、退院後の患者さんのADLは、退院時が同じ能力(ADL)であったとしても、極めて活動的であったり、逆に寝たきり状態になっていたりします。

では、なぜこのような違いが出てくるのでしょうか?

 

明確な答えはまだわかりませんが、私たちは、この違いや違いが出る要因に関する知見を得ることで、退院する患者さんに対して効果的な助言ができるのではないかと思います。

そこで、今回はこれに関して参考になる資料がありましたので、掲載させていただきます。

 

資料紹介

脳卒中発症後、リハ医療を受けて退院した患者210名の退院後から3年間の予後の調査と分析を行った結果が掲載されていました。

中村隆一,長崎浩,天草万里編:脳卒中の機能評価と予後予測,医歯薬出版株式会社.2011

 

この書籍に掲載されていた研究では、以下のような結果が得られました。

 

退院時ADL自立度と退院後ADLの関係

退院後のADLの維持率は、

・退院時に自立していた群で101名中76名(75.2%)

・要監視群で66名中39名(59.1%)

・部分介助群で25名中3名(12%)

だった。

 

つまり、退院後ADLの維持率は退院時の自立度が高いほど良いと考えられます。

 

退院後にADLが急速に低下する時期

生存分析を用い、退院時のADLを100%として経時的にその維持率の変化をみると、75%の患者がADLを維持できている期間は、退院時ADL自立群で25.1ヶ月、退院時ADL要監視または部分介助群では24.1ヶ月でした。

また、ADL維持率が50%まで低下するまでの期間は、退院時ADL自立群で33.9ヶ月、退院時ADL要監視または部分介助群では31.7ヶ月でした。

この結果より、退院後の2年間はある程度のADLが保たれるといえます。

 

しかし、この数字によく注目してみてみてください。

75%までADLが低下する期間が25ヶ月程度であったのに対し、50%までADLが低下する期間はそこからたったの10ヶ月程度。同じ25%の低下ですが、退院から2〜3年目程度の期間に突入するとそこからは比較的短期間で加速的にADLが低下していることがわかります。

 

さらに、この資料では数値によるデータは掲載されていませんでしたが、図として生存曲線のグラフが示してあり、これを見る限りでは3年目頃には退院時に自立していた群も介助が必要であった群もどちらもADLを維持している患者の割合は30%程度まで低下している結果となっていました。

つまり、退院後2-3年目の間で急激にADLが低下し、3年経過後にはADLは3割程度しか維持できていない(?)といえます。

 

何してくれてんのよ生活期( ´Д`)

って言いたくなっちゃうし、自分たちの指導や環境調整がしっかりできていない現状を表している結果なので悲しいですね。

人の施設のデータですが、自分たちも同じことが言える状況にある方も多いと思うし、このような退院後のデータは貴重なのでチェックしておきたいですね。

・退院後3年目頃にはADLが維持されている患者は3割程度しかいない

・特に退院から2〜3年目に休息にADLが低下するため、この時期に低下しないような介入が必要!

 

退院後活動レベルを決定する要因(ADL低下の予測因子)

また、この論文では、入院リハ医療を受けて退院した206名に対し、郵送によるアンケート方式でBarthel Index(BI)も評価しています。

そして、退院時BI点数から調査時BIの差を算出し、ADLが低下したか否かを判断しています。

 

解析データには、回答が得られ生存していた158名のデータが用いられました。

 

退院後のBIの変化(低下or非低下)を外的基準として数量化Ⅱ類を実施した結果、寄与率は30%であり、退院時BI、病前社会的適応状態(良、可または不良)、家族構成数、配偶者有無、性別が重要な予測因子であることがわかりました。

退院後にADLが低下する危険因子

・退院時BI95以下

・病前社会的適応状態が可または不良

・家族構成人数が本人を含んで5人以上

・配偶者がいる場合

・女性

 

これらの因子が退院後のADLに関与している理由までは把握できないですが、上記の結果から、退院時のADLが低く、病前から社会的交流が狭い介助者が常にいるような方、特に女性の場合、退院後の活動レベルが低下するリスクは非常に高いということになります。

入院中にこのような患者さんを担当した場合は、退院時には患者さん本人だけではなく、ご家族の方も含めてADL低下のリスクが非常に高いことを認識していただき、ADLを落とさないような生活サポートの方法を具体的に話し合って調整していかなくてはならないことがよくわかります。

 

また、社会的な交流をどのようにつくるかも重要な要素と思われます。

・・皆さんは、病院を退院した患者さんに出逢ったときになんとなく退院直前よりも能力が落ちているのでは?と思うような場面は経験したことがないでしょうか。

 

残念ながら、私はまだこのような場面を目の当たりにすることがあります・・

 

どのような指導を行えば、より長く良好なADLを維持していただけるのでしょうか?

患者さんを「人」として、「社会」として、全体的にとらえて指導を行うことの難しさをヒシヒシと感じます。

 

 

本日は以上で終わります。

最後までお読みいただきありがとうございまいた!

 

参考資料

ABOUT ME
たけ
たけ
理学療法士&ピラティスインストラクターをメインに姿勢・パフォーマンス改善のプロとして活動中! 過去には世界で最も患者が多い病院、某大学病院で超急性期のリハビリテーションに貢献。その他にも認定脳卒中、呼吸療法認定士、ガンリハなどの資格を保有。 現在PHIマスタートレーナーを目指しつつ、超急性期から障害予防までの多岐にわたる分野の記事を執筆中。 SNSフォローやメッセージお気軽に下さい♪Youtubeのチャンネル登録もお忘れなく!
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